遺留分侵害額請求
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遺留分について相談する専門家の選び方
1 遺留分については弁護士に相談すべき
遺留分などの相続に関わる専門家としては、弁護士や司法書士、税理士などがいます。
ここで、誰に相談すべきかの結論としては、遺留分については法律の専門家である弁護士に相談すべきだということになります。
その理由として、まず、相続開始後に、「遺留分を請求したいがどのように対応すればよいのか」という場合や、「遺留分を請求されたがどのように対応すればよいのか」という場合には、基本的には、弁護士にしか相談することができないからです。
遺留分を請求する側、請求される側のいずれにおいても、基本的には、弁護士でなければ本人の代理人となることができないのです。
次に、生前に、「遺留分のある相続人に遺産を渡したくないが、どのようにすればよいのか」という場合や、「遺言書を作成したいが、遺留分を侵害せずに、揉めないような内容にしたい」などといった相続対策をしようという場合にも、弁護士に相談すべきでしょう。
なぜなら、弁護士は、法律について最も詳しい専門家ですし、日頃から、交渉や裁判などの経験を通じて、「どのような場合や財産であれば、遺留分の対象となるのか」「遺留分の対象となった場合に、どのように評価されるのか」「評価された場合、遺留分の額はいくらになるのか」などについて、精通しているからです。
そのため、遺留分について相談する専門家は弁護士にすべきということになります。
2 相続に詳しい弁護士に相談すべき
弁護士の業務は非常に幅広く、相続はもちろん、企業法務、債務整理、交通事故などの多くの分野があります。
このように多くの業務分野がある以上、すべての弁護士が相続の分野に精通しているわけではないということになります。
遺留分については、上記のとおり、法律や裁判における取扱いについて、詳しい法的知識を持っていることや多くの経験をしていることが要求されます。
そのため、遺留分について弁護士に相談する際には、相続に詳しい弁護士に相談すべきだといえます。
相談する弁護士が相続に詳しい弁護士であるかどうかについては、その事務所のホームページ等を確認したうえで、相談する弁護士を選ぶのがよいかと思います。
遺留分侵害額請求をするとどうなるのか
1 請求期限による消滅を防ぐことができる
遺留分侵害額請求は、自らの遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内にする必要があります。
この期間内に請求をしなければ、請求をされた側から消滅時効を援用されれば、遺留分侵害額請求権は時効によって消滅することになってしまいます。
逆に言えば、遺留分侵害額請求をこの期間内にすれば、消滅時効の成立を防ぐことができます。
また、遺留分侵害額請求の期間制限については、相続が開始してから10年という期間制限(除斥期間)もあります。
遺留分侵害額請求をすることで、この期間制限についてもクリアすることができます。
なお、遺留分侵害額請求をするためには、これらの期間制限内に請求したことを証拠として残しておく必要があります。
そのため、遺留分侵害額請求は、配達証明付の内容証明郵便で請求することが一般的です。
参考リンク:郵便局・内容証明
ちなみに、一度、遺留分侵害額請求をしても、一般の金銭債権として、さらに5年間の消滅時効が進行することになりますし、さらにこの場合は内容証明郵便による請求ではなく、裁判上の請求等をする必要がありますから注意してください。
2 遅延損害金が発生するようになる
遺留分侵害額請求権は、法律的には形成権として扱われており、必ずしも請求をする際に請求金額を明示して行う必要はないとされています。
しかし、そのようにして発生した金銭債務は、期限の定めのない債務となるため、具体的な金額を明示して支払いを請求しない限り、履行遅滞にはなりません。
遺留分侵害額請求についても、具体的な金額を示していない場合は遅延損害金が発生しません。
裏を返すと、具体的な金額を示して遺留分侵害額請求をすれば、履行遅滞による遅延損害金を請求することができるようになります。
なお、当初の形成権の行使としての請求と、金銭債権の請求は同時にすることができますので、当初から遅延損害金を請求するためには、最初に請求をする際に、具体的な金額を明示するようにしましょう。
なお、遅延損害金の割合は、令和6年時点では年間3パーセントとなっています。